将来パートナーに出会える可能性は?「出会い」の視点から分解整理して考えてみた。

なかなか自分と合った人と巡り合えない、ノンケの世界もゲイの世界も同様の悩みを抱えている人が多いようです。それを反映してか巷ではノンケ・ゲイ問わず、出会い系アプリや出会い系サイト、婚活パーティー、お見合い、結婚相談所など様々なサービスが提供されています。

一方でサービスが増え過ぎたこともあって、どれが自分に合っているのかや、色々なサービスを試してみたけれど結局出会えない、やっと出会えても関係が長く続かないといった経験をすることもしばしば。

そこで今回は、様々なサービスを紹介する以前に、出会いとは何か、どうして出会えないのか、自分に合った出会いは、などなど出会うことの意味や目的について分解してみることで、自分にとって本当に必要な出会いとは何かを考えるきっかけを作れればと思います。

自分の出会いの目的はパートナー探し?それともヤリ目?

ゲイであれば多かれ少なかれ自分のセクシュアリティに悩む経験がありました。その後、自分はゲイなんだと自己認識した段階で同じセクシュアリティを持つ人との出会いのステップが待っています。そのステップへ行動する際、どちらの気持ちが強いでしょう?

(A)同じゲイと知り合いたい・友達を作りたい

(B) 誰かと恋をしたい・パートナーになりたい

(C) ゲイのタイプの人とやりたい(性行為をしたい)

(C)であれば比較的簡単です。体は男性のため比較的性的欲求が強く、発展場やサウナ、ヤリ目の出会い系サイト・掲示板・SNSなどで呼びかけたり行動したりすれば、容易にやることができます(タイプのえり好みが強ければ確率はその分下がります)。
ノンケの世界でいう、男性がお金を払って風俗に通うのに近いイメージです。あとくされも少なく気軽なのが特徴です。

(A)についても、同じような出会い系掲示板の「友達募集」や、ゲイバーで隣どうしになって会話をしたり、同じ趣味や年齢層の集まるゲイサークルなどに参加したりすれば友達になれます。友達といってもネット上の友達やサークルだけの付き合い、週末遊びに行く友達や、十数年来の友人など、親交の深さによっては、難しかったりすることもあります。

一方で(B)については、恋をして付き合うことまでは進めても、なかなかパートナーに至ることは難しいようです。ましては長年パートナーでい続けている人は、私の周りをみてもたまにしか見かけません。

パートナーになる人とはどうしてなかなか出会えない?

割れ鍋に綴じ蓋という言葉もありますが、パートナーは基本的に作りたいと行動すれば作れます。ただしノンケよりもハードルは高いようです。その理由について分解していきましょう。

絶対数が少ない

色々な統計調査があり一概には言えませんが、LGBTの人口は全体の7人に1人だったり22人に1人だったりとばらつきがあるものの、ノンケの世界よりも明らかに絶対数は少ないことがわかります。その中でGだけ抽出すればもっと少ないことが考えられます。

絶対数が少ない中で、自分に合う人と出会える確率はノンケを1とすると、ゲイは0.15未満・・・、単純な計算だけですがノンケの7倍以上活動しないと出会えない計算になってしまいます。地方に行くとさらに数は少なくなり、何度も同じ人と会う経験をする人もいるようです。

相手にパートナーが既にいる

パートナーとの出会いは早い者勝ちです。とくにパートナーを作りたいと強く思っている人たいは、10代~20代の若いうちに活動しています。もしそこでパートナーが成立して末永く仕合せであれば、出会いの市場からは出現してこなくなります。

もちろん、若いうちは仕事に夢中で落ち着いてきてからパートナー探しをする人も多くいます。パートナー>仕事なのか、仕事>パートナーなのか、それこそ自分の価値観や環境によりけりですが、自分の相手に求めるタイプによっては対象が少ない可能性は十分にあり得ます。

出会いの量的問題:実はそんなに多く出会っていない?

出会い系アプリやサイトで数多くやり取りはしているものの、実際に出会えた数は数えるほどしかなかった経験ってありませんか?
会えなかった理由は自分都合だったり、相手都合、利用している出会い系サイト・アプリがパートナー探しに合わなかったり等、色々な要因はあると思います。しかしながら量的にそれなりの数に出会わないと「自分も相手もOK!」になることは確率的にも難しいのが実情です。

出会いの質的問題:今使っているサービスは本当に目的に合ってる?

出会い系のアプリにもヤリ目からパートナー探しまで様々な目的で作られたサービスがあるので、自分の目的に本当にあっているか再度検討するのも一つの方法です。

また、確実に出会える恋活パーティーの参加や、パートナー仲介サービス、友達の紹介、ゲイバーの利用など利用するサービスの視野を広げてみるのもいいかもしれません。

ここまで、出会いについて、質的・量的な視点から分解して解説していきました。 思った以上にパートナーと巡り合えることは簡単ではないことがわかると思います。

友達だけの関係もモチロンOK

(いろいろ経験してみて)パートナーは面倒、友達といたほうが楽しい、仕事に没頭してる ほうが自分に合ってる、そんな価値観を持つ人ももちろんいます。ゲイの最大のメリットは(デメリットでもありますが)結婚や出産といったしがらみが個人的には解放されていること。

実際にそのメリットを最大限生かして、友達や仕事で十分満たされているという人が周りにも多くいます。また、ふだん気の合う友達どうしがルームシェアやシェアハウスで共同生活をするケースも増えてきています。友達作りであれば、冒頭で紹介したように出会いのハードルはパートナー探しよりぐっと低くなりますね。

同調圧力が強い国民性ではありますが、自由が保障されている国ですから。甚だしい迷惑をかけない範囲で自由に生きればいいんだと思います。いろいろな出会いを通じて、経験し自分が心地よい関係を作れていければ、パートナーではなくても良い「出会い」なのではないでしょうか。

最後に1点、社会的孤立は避けよう。支援サービスも

人はもともと集団行動が前提で社会的な「つながり」を維持していないと心身に不調をきたすことが科学的に知られています。もし万が一本当の意味で孤独になったり経済的に追い詰められたりした場合は、行政や民間の支援サービスがあります。無理をせず頼る勇気を持ってください。

支援サービスの紹介

どんな生き方を選ぶにせよ、社会的孤立だけは避けるようにしたほうが生きる上で健全のようです。

▽参考文献・調査

電通ダイバーシティ・ラボ2018年調査
LGBT2018調査

世論調査会社ギャラップ(Gallup)2017年調査
In U.S., Estimate of LGBT Population Rises to 4.5%

連合(労働組合)2016年調査
LGBTに関する職場の意識調査」(インターネット調査)

米国科学アカデミー紀要(PNAS)2016年論文
Social relationships and physiological determinants of longevity across the human life span